ブルーライト漢詩18
東日本大震災小景
海辺荒土幾牛馳
海辺の荒土 幾牛か馳す
空浴春風食草姿
空しく春風を浴びて草を食す姿
原子妖雰籠一帯
原子の妖雰(放射能)一帯に籠む
牧人不見去何之
牧人(飼い主)は見えず
去リて何くにか之く
解説
神奈川新聞平成26年3月2日日曜日版から転載
漢詩の作り方
≪漢詩の作り方面⑮≫
漢詩の世界には今、3種類
の字がある。当用漢字と旧字、
それに中国の簡休字だ。例え
ぱ上掲詩で使った「海辺」の
辺は当用漢字、邊が旧字、边
が中国簡体字だ。全日本漢詩
連盟の漢詩大会では、詩は旧
字、読み下し文では当用漢字
を使う決まりだが「これから
漢詩を始めようという若い人
のため、すべて当用漢字を」
という声もでている。現在中
国で刊行される詩集は、李白
も杜甫もすべて横書きの簡体
字。雲ー>云、陰ー>阴…など、
実に読みにくい。
作者紹介
岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。
60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。
99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、
神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp
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