ブルーライト漢詩12


 擬酒井謙太郎雅兄瑶韻
   酒井謙太郎雅兄の瑶韻に擬す(ならう)

     祇園傾国晩粧研
    祇園の傾国(美女)
    晩粧(夕方の化粧)けんなり(美しい)
     柳緑花紅映鴨川
    柳は緑 花は紅 鴨川に映ず
     騒客狭斜孤酔寐
 騒客(詩人)狭斜(花柳街)に孤酔して
     潜聞枕下水潺潺
   ひそかに聞く 枕下 水潺潺せんせん(流れる音)

解説

神奈川新聞平成25年9月1日日曜日版から転載

≪漢詩の作り方⑨≫

    漢詩の平仄(ひょうそく) のルールは厳しい。7宇目の 韻字グループを考えているう ちにうっかり「下三連(各句 の最後の3文字の平仄が○か ●でそろう)は不可」を失念 することが多い(○は平声、 ●は仄声)。例えば上掲詩の 下3字は起句●○○、承句● ●○、転句○●●、結句●○ ○。作詩ではまず結句の下3 字を決めると作りやすいとい われる。今回は、結句の下3 字「水潺潺」は酒井さんの句 から借りたので、「潺」と同 じ「先韻」の中から「妍」と  「川」を探し出した。

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

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