ブルーライト漢詩11


   観三浦弘行八段
   与電脳対局有感

  三浦弘行八段と電脳の対局を観て感有り

     春日閑敲一局棋
    春日しずかにたたく一局の棋
     精思黙黙闘知時
    精思黙々 知を闘わす時
     却驚電脳縦横技
かえって驚く 電脳(コンピューター)縦横の技
     才俊輸籌尚妙姿
才俊(俊英)輸籌ゆちゅう(敗れる)すれどもなお妙姿

解説

神奈川新聞平成25年8月4日日曜日版から転載

≪漢詩の作り方⑧≫

     漢詩の平仄(ひょうそく)ル ールの「孤平不可」。4宇目が ○ならその前後を●((○は平字、 ●は仄字)にしてはいけない、 文字通り「平字を孤立させては いけない」という意味だ。上掲 詩の起句で、4宇目の敲は○。  「閑敲」の閑は静と同じ意味だ が、閑は○、静は●。静を使う と「静敲一」●○●となり、敲 が孤平になってしまうから、静 は使えない。どうしても静を使 いたいのであれば、5宇目の一 ●を難○とすれば、●○○とな り孤平は免れる。平仄のルール の中で、この「孤平不可」が最 もうっかり間違えやすい。

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

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