ブルーライト漢詩15

  寄白井健三選手新技
    白井健三選手の真技に寄す

     痩躯微顫眼光新
    痩躯そうく 微かすかにふるえ 眼光新たなり
     如鳥翻身技入神
    鳥の如く 身をひるがえす 技 しんに入る
     忽爾人名負其姓
    忽爾こつじ 人の名づくは 其の姓に負う
     凜然年少正麒麟
    凜然りんぜんたる 年少 正に麒麟きりん

解説

神奈川新聞平成25年12月1日日曜日版から転載

漢詩の作り方

≪漢詩の作り方12≫
漢詩作りを独学で行うのは なかなか難しい。できれば漢 詩教室で仲間とともに先生に ついて習うのが一番だ。「一 字の師」という言葉がある。 七言絶句で28字中の1字を直さ れただけで、見違えるような 詩になることがある。上掲詩 で、転句は最初『絶技命名其 白井』だったが窪寺貫道先生 に直された。「名」と「其」 しか残っていない。私にとっ て一宇の師どころか「五字の 師」である。われわれ生徒の 提出する作品には、しばしば 「意不通」「アア、ソウデス カ!!」「単なる説明!」と朱 が入って返される。漢詩作り は奥深い。

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

前へ 次へ  目次へ