ブルーライト漢詩6


  次海江田万里先生瑤韻
     海江田万里先生の瑤韻よういんに次す

     扶桑天晦朔風鳴
    扶桑(日本)天くら朔風さくふう(北風)鳴る
     東北深憂興未成
    東北の深憂 興(復典)未だ成らず
     南海近来多外患
    南海近来 外患(尖閣列島問題)多し
     済民経世恃先生
    済民経世(国民生活の安定)
     先生にたのまん(頼む)

解説

神奈川新聞平成25年3月3日日曜日版から転載

≪漢詩の作り方③≫

 前回紹介した「二四不同」 「二次対」「一三五不論」「孤 平不可」のほかにも、漢詩の 決まり事はあります。使う言 葉が2・2・3.文字から成る こともそのひとつ。さらに「下 三連は除く」という原則があ り、下3字が○○○または● ●●は不可です。七言絶句を 作る場合、結句の下3字(掲 出詩では恃先生)から作るか、 起句の上2字(扶桑)から作 るかすることが多いですが、 その平仄が決まれぱ、あとは 上述のルールを適用し、必然 的に詩の形(各句の平仄の配 列が決まってきます。

○○○●●○○ ○●○○●●◎
扶桑天晦朔風鳴/東北深憂興未成
○●●○○●● ●○○●●○◎
南海近来多外患 済民経世恃先生

○は平、●は仄 ◎は韻(鳴、成、 生=庚韻)

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

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